絵師:nagioさん
start!
基本的に、魔物絡みの仕事は危険を伴う。
故に報酬は大きく、相場じゃ最低でも3000ゴールドからだ。
で。
森のゴブリン退治で300ゴールドだと?
ふざけんな。
(;゚∀゚)「割り合わねぇっての!」
川д川「木に八つ当たり。小物」
(;゚∀゚)「うるせーぞ呪術師。えっと、名前なんだっけか……?」
川д川「貞子」
( ゚∀゚)「ああ、そうそう。貞子だったな。
とにかくよ、この仕事は割りに合わない。分かる?」
川д川「ええ」
( ゚∀゚)「で、二人でやると更に報酬は半分。150ゴールド。
150っつったら、飯食ってハイ終わり」
川д川「そう」
( ゚∀゚)「だからよ」
川д川「なんでしょう?」
( ゚∀゚)「お前さんは家帰って寝てろ。この仕事は俺が一人でやっとくから」
川д川「だが断る」
(;゚∀゚)「あーっもう! 何でだよ!」
俺はガシガシと頭を掻いた。
あー、現在の状況。仕事内容は前述したとおり。
薄暗い森の中、隣を歩く相方は一名。よりにもよって女だ。
話を聞くと、どうやら腕利きの呪術師らしい。
知るか。
川д川「一度受けた仕事は遂行するのがプロ。
で、質問。ジョルジュはどうして頑なに一人でやりたがる?」
(;゚∀゚)「仕事は一人でやるって決めてんだよ。
誰かと組むのは好きじゃねえんだ」
川д川「我が侭」
(;゚∀゚)「足手纏いはいらねえって意味だっての!」
こいつが、どんだけ腕が立つかは知らん。
が、どう見ても貧弱な体、ボロボロのローブ、うさんくさいドクロの杖。
装備を見た限り、明日の飯代にも困ってそうな風貌である。
断言。こいつ、絶対弱い。
見た目もまだ若いし、ギルダー成り立ての新参って所だろう。
( ゚∀゚)「なあ」
川д川「何?」
( ゚∀゚)「悪い事は言わん。村に帰って大人しく待ってろ」
川д川「お断り」
( ゚∀゚)「……あのさ、一応聞いとくけど、お前魔物と戦った事ある?」
川д川「いや。ほとんどの場合、人間が相手だった」
( ゚∀゚)「……は?」
川д川「盗賊や山賊相手がほとんど。
魔物退治は今回が初めて」
貞子は、ふん、と鼻を鳴らす。
……無表情で自慢する奴、生まれて初めて見た。
( ゚∀゚)「じゃあ、なおさらやめとけ」
川д川「何故」
( ゚∀゚)「あのなー、魔物の凶暴性は人間の比じゃねえんだぞ?
本能のみで動いてっから、手加減も躊躇もねえ。
油断したら後ろからガブリで人生終了だ」
川д川「言われなくても知っていますが、何か?」
( ゚∀゚)「……ハァ。もう好きにしろ。
ただし、ピンチになっても助けてやんねーからな。
自分の身は自分で守れ。以上」
川д川「御衣」
俺は大股でずんずんと先へ進む。
あー、畜生。結局お守り付かよ。面倒くせえなぁもー。
川д川「ジョルジュ、あんまり不用意に進むと危ない」
( ゚∀゚)「うるせーなっ。ゴブリンの住処まではまだ遠」
不意に足元に穴があいた。
悲鳴をあげる間もなく落下。尻をしたたかに打ちつつ、泥にまみれた。
川д川「落とし穴。ゴブリンの十八番」
(#゚∀゚)「……」
川д川「ちゃんと地面の色を見ないと駄目」
(#゚∀゚)「あーあー、はいはい!ワカッテマスよそれくらい!」
俺はヤケクソ気味に叫びながら、穴から這い上がった。
出だしから最悪だ。いつもなら、こんな初歩的な罠に引っかかるはずないのに。
相手がゴブリンだったからよかったものの、
もしこれが、針付落とし穴とかだったら……うえ、串刺し想像しちまた。
川д川「手、貸す?」
貞子がそっと細い手を差し伸べてきた。
こんな小娘に同情されるなんて、屈辱だ。
俺はギルダー暦10年だぞこんちくしょう。
(;゚∀゚)「いらん! いいから、さっさと先進んでちゃっちゃと仕事終わらせるぞ。くっそ、何でたかが150ゴールドの仕事でこんな……」
川д川「値段は関係ない。ギルダーにとって大切なのは、困っている人を助ける救いの精神」
( ゚∀゚)「おおう。ギルダーのテンプレだね。
そんなもんを口に出すとは、流石新参。若いねー」
川д川「……何かおかしいか?」
( ゚∀゚)「別に。まあ、そのうち嫌でも分かるさ」
言って、おれは泥を払い歩みを進めた。
ギルダー。ギルドに依頼された仕事を請け負い、生計を立てる職業だ。
その内容は、何でもござれだが、当然汚い仕事も中には存在する。
裏のいざこざ。金の横流し。妬み悪意策略……。
俺は身をもって、人間の欲の醜さというものを見て、感じてきた。
そう。あの時、俺が気付いていれば。
あいつも死ななかったのかもしれない。
川д川「どうしたー?」
( ゚∀゚)「あ? 何が」
貞子は俺の顔を指差す。
川д川「何だか今にも腰にさした剣で自らの喉を切り裂きそうな顔」
(#゚∀゚)「ぶっ殺すぞコラ。年上には敬意を払え、敬意を」
川д川「わかりました。おっさん」
( ゚∀゚)「よし、次言ったら殺す。俺はまだ二十代だこの呪術師野郎。覚えとけ」
川д川「例えこの命尽きようとも、私の怨みは憑依し敵の身を滅ぼすだろう」
(;゚∀゚)「……何それ」
川д川「呪術師のテンプレ」
( ゚∀゚)「さっさと行くぞ」
川д川「あ、無視。呪ってやる」
勝手に呪えバカ。
変な奴だ。
呪術師は変人の集まりだというのは、どうやら本当のようだな。
ま、こんなんでも一応女だしなー、あー面倒くせえ。
さっさと仕事を片付けて、おさらばしよう。
もう二度と、あんな思いはしたくないし、な。
2
ゴブリンと聞くと、弱いとか、雑魚みたいなイメージがあるかもしれない。
が、そんな事をのたまう奴は、モノホンの魔物ってもんを見た事の無い素人か、いきがったガキだ。
ゴブリンは、見た目はチビでブサイクな小人だが、
その実、怪力は岩をも持ち上げ、動きは俊敏でコンビネーションも上手い。
ま、俺くらいの剣士になれば他愛もない相手だが
素人は無闇に手を出さず、食い物を置いて逃げるが吉という事だ。
川д川「足跡」
( ゚∀゚)「ああ。だいぶ近いみてーだな」
地面にある痕跡から、奴らの住処を捜し当てる。
魔物狩りの基本である。
大概は洞窟や、空き家を根城にしている場合が多い。
( ゚∀゚)「気をつけろよ。そろそろ出くわしてもおかしくねーからよ」
川д川「ジョルジュも」
気をつけろってか?
忠告されるまでもない。俺は気を周囲にめぐらせ、気配を探る。
何かが近づいてくれば、すぐに分かるスキルだ。
基本中の基本だが、これが出来なきゃギルダーは勤まらない。
( ゚∀゚)「……む。いるな。二体ってとこか」
川д川「丁度いい」
貞子は杖を構えた。
……が、その腕はやっぱり細く、頼りない。
戦う気満々みたいだが、ここは任せてもらおう。
( ゚∀゚)「俺がやる。お前は離れてろ」
川д川「大丈夫?」
( ゚∀゚)「はっ。ゴブリン二体にやられるようじゃ、とっくにお陀仏してるよ」
俺は長剣を取り出し、だらりと構えた。
ゴブリンの動きが止まる。どうやら木々に紛れて、奇襲をかける作戦のようだ。
( ゚∀゚)「……」
精神を集中する。
右と左、挟み撃ち。どちらから先に来るか。
「キィ――ッ!」
( ゚∀゚)「右ッ!」
すかさず剣を振り上げる。
ゴブリンの右腕が飛んだ。甲高い悲鳴が森に轟く。
「キィ!」
( ゚∀゚)「ライトニングッ!」
棍棒を振り下ろしてくる右のゴブリン。
俺はそいつの胸に雷撃の呪文をぶちかましてやる。
詠唱無しだから威力はほぼゼロだが、目くらましにはなる。
案の定、視界を潰されたゴブリンは目を押さえて転倒した。
( ゚∀゚)「雑魚がいきがってんじゃねえよ!」
回転し、剣を振り下ろす。
ゴブリンの胸に刃が突き刺さった。
「キ、キィ…ア」
数回、痙攣した後、ゴブリンは絶命した。
( ゚∀゚)「さて、右腕飛ばした方。次はてめーの番……?」
いない。
どこにいった? 右腕を破壊したから、そうそう動けないはず。
「キィィィ!!」
( ゚∀゚)「後ろかっ!」
即座に反応し、剣でゴブリンの蹴りをガードする。
だが、踏ん張りが甘かったのか、俺はよろけた。
ゴブリンはその隙を逃さず、後ろ回し蹴りを放つ。
「キェ!!」
(;゚∀゚)「やっべ……!」
剣が弾かれ、飛ばされた。
まずい。ゴブリン相手に肉弾戦は得策じゃねえ。
剣を取りに背を向けるか。いや、それなら、何か目くらましをしてから。
川д川「トミノトミノアカイチノミホスアノヨマデ」
「キェ……!?」
不意に、背後から呪文が聞こえた。
貞子? あいつ、離れてろって言ったのに!
(;゚∀゚)「バカ、逃げろ!」
ゴブリンが、詠唱に気付きターゲットを貞子に変更。
俊敏な動きで、貞子へと一直線にかけて行く。
まずい、間に合わない。
そう思い、目を瞑ろうとしたその時だった。
川д川「闇に生きる者よ、その身を滅せよ」
「キエェェェェェッ!?」
貞子が、ドクロの杖を大きく振った。
すると、ゴブリンが急に胸を押さえ、苦しみだした。
まるで心臓を貫かれたかのように、のた打ち回る。
川д川「心呪縛」
「ギッ!」
瞬間、ゴブリンの胸が裂け、中から飛び出した心臓が宙で破裂した。
緑の血液が辺りに飛び散る。
確認するまでもない。ゴブリンは絶命した。
俺はしばらく、阿呆みたいに口を開けたままぽかんとしていた。
(;゚∀゚)「な、何だよ今の」
川д川「黒呪術」
貞子は、潰れた心臓をさらに踏み潰し、平然と言ってのけた。
背筋に悪寒が走った。
こいつ、並みの使い手じゃねえ。ヤバイ。躊躇もまるでない。
本物の呪術師だ。
川д川「大丈夫?」
(;゚∀゚)「あ、ああ。悪いな……」
俺は剣を地面に突き刺し、立ち上がった。
川д川「危険と判断し、勝手に動いた。ごめんっち」
(;゚∀゚)「いや……」
謝られても、返す言葉が見当たらない。
こいつに助けられた。むしろ、俺が礼を言うべきだ。
俺はうざったいプライドを投げ捨て、咳払いをした。
( ゚∀゚)「助かった。ありがとう」
川д川「……ふうん」
(;゚∀゚)「な、何だよ」
貞子は、ドクロの杖で俺を指しながら言った。
川д川「素直」
( ゚∀゚)「……オイ」
川д川「いい子」
( ゚∀゚)「俺は年上だ」
川д川「物分りのいいおっさん」
( ゚∀゚)「よーし、ぶっころーす」
俺は軽く貞子の頭をはたいた。
相変わらず無表情のまま、貞子は俺を見上げる。
川д川「……虐待オヤジ」
( ゚∀゚)「うるせっ! 教育だよ教育。
年上には敬意を払いなさいってことだ」
貞子は納得いかない様子で、うーうー、唸っていた。
バーカ、恥ずかしいんだよ。察しろっての。
これでも一応、十年やってるからな。ギルダー。
( ゚∀゚)「でもま、お前の実力は認める」
川д川「ん?」
( ゚∀゚)「やり方はグロイけどよ、強いじゃねえか。
足手纏いなんて言って、その、悪かったな」
後頭部をかきながら、俺は言った。
こういう時、素直に頭を下げられないのは、年ゆえか。
川д川「いいよ。私もジョルジュの実力、認める」
(;゚∀゚)「認めてなかったんかい」
貞子はボロボロのローブの端で手を拭き、前に差し出した。
川д川「改めて、よろしく」
( ゚∀゚)「ああ」
俺はその手をしっかりと握った。
握手なんて、何年ぶりだろう。
こうやって、パーティーを組むのも悪くない。
そう……本当は、悪くないんだ。
俺と貞子は、並んで森を歩く。
今度は少し、お互いに距離を縮めて。
3
( ゚∀゚)「いっぱいいるなー」
川д川「三十、いや四十」
ゴブリン襲撃から歩いて十分ほどの場所。
森の奥に、廃墟がぽつんと佇んでいた。
どうやら、あそこがゴブリンの住処になっているようである。
( ゚∀゚)「んー、こりゃ真正面から行くのはちと厳しいか」
川д川「厳しい。私の呪術も、個人用。集団相手は好ましくない」
( ゚∀゚)「ん? 集団用のやつはねーの?」
川д川「ある。……けど、時間がかかるし、オーラが出るからばれやすい」
( ゚∀゚)「なるほどね。魔法と仕組みは一緒ってことか」
強力な魔法ほど、詠唱時間も長いし魔力のオーラが派手にでやすい。
故に、魔法使いや呪術師などは後方。前列で戦士が食い止めるのが定石だ。
( ゚∀゚)「よし。んじゃあ俺が囮になろう」
そう言うと、貞子が鎧の肩部分を掴んだ。
川д川「危ない」
( ゚∀゚)「平気だっつーの。暴れるのは得意だからよ。それに」
俺はにんまりと笑って見せた。
( ゚∀゚)「お前の実力ってやつを、信じてみよっかなー、なんて」
貞子は、鼻で息を大きく吸って、呆れたように大きくため息をついた。
川д川「……信じてくれる、嬉しい。けど失敗しても恨まないで」
( ゚∀゚)「ブワァーカ。失敗したら俺一人で何とかするっての。
つーか、始まる前からそういう事言わないの」
川д川「あいた」
俺は軽く小突いて、剣の柄をしっかりと握る。
( ゚∀゚)「行くぜ。貞子」
川д川「うん」
俺は体内にある微量の魔力を、全て腕に集中。
魔法使いの系統じゃねーから、ほんとに微々たる魔力だけど。
あいつから教わった雷は、今もまだ俺の体に残っている。
( ゚∀゚)「っしゃあ!」
俺は勢いよく飛び出した。
一気に魔力を解放する。瞬間、剣に雷が付与。
雷神剣。
あいつと俺で作り上げた、最高にかっこいい必殺技だ。
「キィ!?」
「キィィィ!!」
「ギエギェ!!」
( ゚∀゚)「っせーぞゴブリンども!人間様が復讐しにきてやったぜオラァ!」
食い物をむさぼっていたゴブリンに、雷神剣をお見舞いする。
衝撃と同時に雷が広範囲に広がり、余波で数体を巻き込みつつ俺は駆け抜けた。
襲撃に気付き、ゴブリン達は武器を手に取る。
だが、隊も組んでない集団などただの烏合の衆だ。
恐れるに足らない。
( ゚∀゚)「おいこら! それは人間様の食べ物だ!
村から奪ってんじゃねえ森にあるもんで満足しやがれ!!」
「ギィィ!!」
頭を貫き、首を狩る。
剣を振るう度に雷が四方八方にとび、ゴブリンどもは完全に混乱。
先手必勝とはよくいったものだ。
「ギィア!」
( ゚∀゚)「っと、そんな余裕こいてる暇ねーか!」
一際体の大きいゴブリンが、仲間に当たることを恐れず、棍棒を振り回してくる。
いるよなー、こういう奴。ちっとは周りの事も考えろってんだ。
( ゚∀゚)「仲間ごと殴ってんじゃ、ねえ!」
叫び、剣を振るう。
奴の体に刺さったが、浅い。お約束の贅肉ガードかよ。
でもな、読みが甘い。
( ゚∀゚)「ライトニング・ブレイクッ!」
「ギ、ギギギギギ!?」
剣を伝わり、雷が奴の体内で破裂する。
パンッ! という破裂音と共に、ぐちょぐちょのねちょねちょが飛び散った。
(;゚∀゚)「うえ、気持ち悪っ!」
ぺっぺ、と緑色の汁を吐き出しながら、辺りを見回す。
十体は絶命。五体が重傷。五体が軽症。元気モリモリは二十体以上。
( ゚∀゚)「やっぱ四十はキツイなー」
呟きつつ、ちらりと貞子の方へ気を向ける。
最大まで強化した聴覚から、貞子の呪詛が聞こえてきた。
よしよし、順調のようだな。
( ゚∀゚)(雷神剣も威力が落ちてきたし、そろそろ元に戻すか……)
そう思い、魔力回路を閉じたその時だった。
川 ゚ -゚)「そこまでだ。愚弄」
凛とした声が響いた。
ゴブリン達の視線が、一斉にその声の主の方へと向く。
( ゚∀゚)「あ……?」
つられて、俺もゆっくりと視線をそちらへ向けて。
見てしまった。そいつを。
長い黒髪に、漆黒のローブ。手の甲には、黒魔術師特有の、印。
(;゚∀゚)「て、てめえは……」
川 ゚ -゚)「ん〜〜〜? 誰かと思えば、ジョルジュじゃないか」
三年前に俺達を裏切った、最低最悪のギルダー。
クー=セイレーン。
かつて共にパーティーを組んでいた仲間が、そこにいた。
4
川 ゚ -゚)「久しいな。元気してたか? ん?」
(#゚∀゚)「てめぇ、よくもまあそんな口がきけたもんだなっ!」
川 ゚ -゚)「いやぁすんませーん。というかね、何?
まーだギルダーやってたん? しかも懲りずにパーティーなんか組んじゃって、爆笑(笑)」
そう言って、クーが茂みの中を指差した。
嫌な予感がした。
(;゚∀゚)「まさか」
俺は慌てて、茂みの中に足を踏み入れる。
ぴちゃり。
赤い海が、足元に広がっていた。
(;゚∀゚)「おい、呪術師?」
だらりと、力なく倒れているモノ。
嘘だ。
生きてるんだろ? なあ、そう言ってくれよ。
(;゚∀゚)「貞子」
体を起こしてやる。
が、貞子は首をだらりと垂らし、目は見開かれていた。
死んでる。
おい、ふざけんなよ。お前、呪いはどうしたんだよ?
詠唱が長い分、強力なんだろ? なあ、貞子。
( ゚∀゚)「返事しろよ……」
川 ゚ -゚)「うわはははは。哀れ哀れ。もうね、アホかと。
まーた仲間が死んで、お前が生き残っちゃったね、ジョルジュ」
( ゚∀゚)「……」
川 ゚ -゚)「あの時と一緒だな。『千里眼の魔術書』護衛の時と、全くオ同じ。
ああ、皮肉だ。あの時は本当にすまない」
クーは、笑いながら言った。
( ゚∀゚)「……」
川 ゚ -゚)「だがな、私はどうしても千里眼の魔術書が欲しかったんだよ
例え君を裏切って、仲間であるしぃを殺してでもうばいとりたかった。
魔物を自在に操れるという魔法を、使ってみたかった」
クーは淡々と言った。
あの時、俺は女剣士のしぃ、そして黒魔術師のクーとパーティを組んでいた。
仕事も順調で、それなりに厳しい仕事も任されるようになってきた矢先だった。
千里眼の魔術書の護衛。
クーの裏切り。目の前で、無残に焼き殺されたしぃ。
護ってやるって、言ったのに。
約束したのに。
しぃは目の前で殺された。
今でも鮮明に思い出せる。
川 ゚ -゚)「ははは。ジョルジュ、私が憎いか?
憎いよな。でもな、私も同じくらい君が憎い。
愛おしくて、愛おしくて、私を狂わせた君が憎いなぁ」
( ゚∀゚)「わけわかんねーよ」
川 ゚ -゚)「しかし、運命とは素晴らしい。
君と私が今日ここで出会ったのは本当に偶然だ。
そしたら悪い虫がついていたから、駆除しておいた。
神様も私とジョルジュは結ばれるべきだと」
クーが言い切る前に、俺は剣を握り襲い掛かった。
猛獣のように叫びながら、大振りする。
だが、クーの近くに潜んでいたゴブリンがタックルを仕掛けてきた。
(;゚∀゚)「ぐぅぅぅっ!」
吹っ飛ぶ。
いかん。今のはモロ入った。アバラいったか。
川 ゚ -゚)「はは、ワロス。やはり魔物の力は強大。
そして、そのマスターである私はさながら魔王候補といったところか」
( ゚∀゚)「笑わせんな……何が、魔王だ」
川 ゚ -゚)「今はまだ下級の魔族しか操れん。しかしいずれは、
全ての魔族を支配して見せよう。この千里眼でな」
クーの右目の色が、藍色に変った。
ゴブリン達が奇声をあげる。
はは、魔女みてえ。
川 ゚ -゚)「どうだ? 私と共に世界を手にしないか?」
( ゚∀゚)「二人だけの世界を、か?」
川 ゚ -゚)「そうだ。人間は全員殺して、私達だけの楽園を作ろう。
ふふ、お前は特別だ。私の下僕になり、尽くせ」
俺は笑った。
なんだ、そりゃ。
そんな戯言。幼稚な願いの為に、しぃを、そして貞子を殺したのか。
せっかく、また仲間が出来たと思ったのに。
お前はすべてを奪い去るつもりなのか。
( ゚∀゚)「答えは否、だ」
川 ゚ -゚)「そうか」
( ゚∀゚)「ああ。悪いが、俺はお前を仲間とは認めない。
むしろ憎い。殺してやりたい。つまり、敵だ」
クーはため息をついて、肩をすくめた。
川 ゚ -゚)「ならば仕方ない。手足を折って、連れて行くとしよう」
( ゚∀゚)「出来るかな? 俺は強ぇぞ」
川 ゚ -゚)「弱いよ、お前は。
私には、ほら、こんなにも頼もしい仲間がいる」
ゴブリンかよ。
そりゃ、仲間じゃねえ。駆逐してるだけの下僕だ。
( ゚∀゚)「お前に、仲間の意味はわからねえよ。一生な」
川 ゚ -゚)「ふふ、君も私の仲間になるのだ。これから、ずっとな」
人の話聞けよ。
このわからんちんが。メンヘラが。
容赦はしない。ぶっ殺す。
刺し違えてでも、殺してやる。これ以上、俺みたいな、
大切な人を失う人間を増やさない為にも。
川 ゚ -゚)「……ん?」
ふと、クーの様子がおかしくなった。
キョロキョロと辺りを見回している。
( ゚∀゚)「……?」
何か、聞こえる?
声?
『トミノトミノオオイナルソラヨチノアメヲフラシ
ジャアクナルモノハニクシミヲツミヲバツヲアタエヨ……』
( ゚∀゚)「まさか、これ」
川 ゚ -゚)「な、何だ。気味の悪い、え、あ、胸が、おかしい」
クーが胸を押さえ、倒れる。
周囲のゴブリンも、倒れ始めた。
(;゚∀゚)「……貞子?」
ふと、空を見上げる。
黒い黒い、暗雲が立ち込めていた。
不意に、思い出す。貞子の言っていた言葉を。
川д川『例えこの命尽きようとも、私の怨みは憑依し敵の身を滅ぼすだろう……』
まさか、これは貞子の……!?
川;゚ -゚)「ぐは、グェェゴエェェ!!」
川д川「呪まーす」
黒い煙がクーの体から噴き出す。
やがて、それは貞子の形となり言葉を発した。
川;゚ -゚)「やめ、ろ……貴様……」
川д川「死ね」
バクン、という音が、森に鳴り響いた。
クーの胸が裂け、頭が破裂し、中身が飛び散った。
ゴブリンも同様に、一体ずつ、じっくりといたぶるように破裂する。
(;゚∀゚)「……」
そして、残されたのは、俺一人となった。
ぽつりぽつりと、雨が降り出す。
その雨にまかれて、煙となった貞子は空へと上っていった。
(;゚∀゚)「おい……お別れの挨拶とかしてけよ。
年上には敬意を払えって言ったのによ……」
一人残された俺は、
ただ、呆然とその場で膝を突いていた。
エピローグ
(´・ω・`)「はいよ。報酬の300ゴールドだ」
( ゚∀゚)「……おう」
VIP街の魔法医務室に、ギルド長が直々にやってきた。
報酬の入った袋を受け取り、俺は痛む体を横にした。
(´・ω・`)「アバラ折られて300じゃ、散々だな」
( ゚∀゚)「全くだ。依頼人に文句の一つでも言ってやりたいぜ」
(´・ω・`)「依頼人、村の連中は大いに喜んでいたぞ。
ギルダーさんによろしく、だとさ」
( ゚∀゚)「へ。のん気なもんだぜ。
あんな安い依頼を受けるギルダーなんざ、そうそういないっての」
(´・ω・`)「いるじゃないか」
( ゚∀゚)「だれよ」
(´・ω・`)「僕の目の前にさ」
( ゚∀゚)「けっ」
俺は窓の外に目をやる。
街の連中は相変わらず世話しなく動き、肩がぶつかっても挨拶一つしない。
どこか殺伐とした世界。
そんな世界で、仲間だなんだ言ってる俺は阿呆なのだろうか。
( ゚∀゚)「なあ、マスター」
(´・ω・`)「ん?」
( ゚∀゚)「仲間って何だろうな」
(´・ω・`)「そりゃお前、寝る間も惜しんで看病してくれるような
奴の事を、仲間っていうんじゃないか?」
( ゚∀゚)「……妙に具体的だな」
(´・ω・`)「ごほん。ま、お邪魔虫は退散するかなー」
訳の分からない事を言って、ギルドマスターは部屋から出て行った。
釈然としない。
俺はぼんやりとする頭を振って、はたと気付いた。
( ゚∀゚)「あれ? 俺、どうやって森から帰って来たんだ?」
記憶が曖昧だ。
自分の足でもどってきた気もするし、しかしこの怪我で歩けたのか?
森の妖精さんが運んでくれたのかな。
なんて、アホな事を考えつつ、ベッドのわきに目をやった。
川д川「……ぐう」
( ゚∀゚)「は?」
目の錯覚だろうか。
死人が見える。
川д川「むにゃ」
( ゚∀゚)「あ、死人が起きた」
川д川「生まれて初めておはようございました」
( ゚∀゚)「意味が分からん」
貞子は平然と、背筋を伸ばし立ち上がった。
おいおい、どういうこった。こいつ、死んだはずじゃ?
川д川「人形」
( ゚∀゚)「はい?」
川д川「藁人形。あのクーとかいう人が殺したのは、人形」
( ゚∀゚)「えーっと、身代わりとか、そういうアレ?」
川д川「そう。呪いをかけた藁人形は、死した時に発動する。黒呪術最大の呪詛」
( ゚∀゚)「……」
まてまてまて。
お前、いつからクーの気配に気付いてた?
ジョルジュがゴブリンに突撃するちょっと前。
不穏な空気、感じたから。
じゃあ何か? なんも知らなかったのは俺だけ?
敵を騙すにはまず味方から。
……。
痛い。何故殴る。
いいか、仲間ってのはな、信頼が重要なんだ。
お互いに信用しあってこそだな……。
ふうん。
なんだよ。
ジョルジュにとって、私は仲間?
バーカ。
当たり前だろうが。
じゃあ、これからも――パーティー、組んでくれないか?
私、気に入った。ジョルジュのこと。
川д川「駄目?」
( ゚∀゚)「バーカ」
俺は手で丸を作って見せた。
貞子は笑顔を浮かべた。
初めて見せた笑顔は、どんな雷魔法よりも
痺れる、そんな魅力的な笑顔だった。
fin



